2009年5月29日金曜日

新医療法施行後の医療法人制度活用のポイント

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
前回現在の医療法人でも充分にメリットがあるというお話しをしました。
本日はその具体的な活用法についてお話しします。

新法施行後につきましては、医療法人がもし後継者がいないので解散、という事になると、医療法人の中に残ったお金を精算しなくてはならなくなります。売掛金や買掛金を精算して、院長先生や従業員の方に対して退職金を支払う。そういったものの支払っても、尚お金が残っている場合、このお金は他医師会や医療法人や地方自治体に没収されてしまう、という事になっています。
これを避けたいのなら、法人の中に余っているお金を計画的にコントロールする、即ち医療法人の中にお金を貯めすぎない、という事が重要になってきます。

それでは実際にどんな方法があるかと言いますと、これには二つの方法があります。
一つは役員報酬を上げる、もう一つは解散せずに売却する、という事です。

1.役員報酬を上げる
後継者のいない医療法人ならば、年に一度は昇給できますから、積極的に先生方の給与を増やして全て使い切ってしまえば、解散時に余分なお金が残る事はありません。
また退職金に使用する、という方法もあります。しかしこの退職金には法律で定められた限度額というものがありますから、この範囲内に抑えた額にするというのが大切です。
では、具体例で考えてみましょう。

医療法人の場合、医療法人の理事長先生につきましては、一年勤務するごとに月給の三ヶ月分を退職金として貰う事が出来ます。
ですから二十年間勤務して月給が200万円であれば、

200万円×20年×3=1,200万円

という事で、1,200万円の退職金を取る事が出来るのです。
ですから毎年給料を決める中で、全部を給料で取るのでは無く、月給の三ヶ月分を法人の中に残しておけば、退職する時にそれを退職金として貰う事が出来るわけです。
例えば院長先生の給与を引く前に3,000万円の利益が上がっているならば、3,000万円を12で割るのではなく15で割ります。そうすると、200万円×12ヶ月=2,400万円を給与として貰い、200万円×3ヶ月=600万円が医療法人の中に残ります。この年間600万円の積み立てが、最終的に退職金として貰える額になります。
こうすれば、医療法人の中に余計なお金が残る事はありません。


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2009年5月28日木曜日

現在の医療法人のメリット

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
前回まで医療法人についてお話ししてきましたが、実は大きな問題が最近はございます。
平成19年4月に医療法が改正になり、医療法人に対する規制強化がなされました。
この事により、平成19年4月以降は個人開業医が個人事業から医療法人にしてもメリットが無いのでは無いか、というような事が言われるようになりました。
実際、医療法改正以降、医療法人の設立が非常に減ってきています。

新法施行後の医療法人では、医療法人が解散して院長先生と役員の方々が退職金を取ってまだ残務財産、即ちお金が余っているといった状態の場合。他医療法人、医師会などにその残った財産を没収されてしまう、という事になりました。
一生懸命貯金したものが、解散後には他人に渡ってしまう。ということは、医療法人にしても損をするばかりだという風に考えられるかもしれません。
しかしながらこれは間違いです。
何故かと言うと、新法施行後において以前お話ししました「医療法人することによって節税に繋がる3つのポイント」、即ち

1.所得税と法人税の税率差
2.親族への所得分散と、給与所得控除
3.生命保険の活用

こういった節税メリットは全く変わっていないのです。
ですから現状でも所得の高い個人開業医さんは、医療法人にする事によって大きな節税を図る事は可能です。
ですが新法施行後には一定の縛りというものが出てきているのも事実ですので、ただ医療法人にすれば良い、という事では無く、運営ノウハウの点が重要になってきます。


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2009年5月27日水曜日

開業後の節税6-5

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は生命保険による節税についてお話しします。

3.節税の仕上げは生命保険

個人の場合は先生方の死亡保障、あるいは生活保障という事で生命保険に加入される方が多いと思うのですが、個人での加入の場合、原則的に幾ら保険料を支払ったとしても所得から引いてもらえる額は10万円くらいにしかなりません。
ですが医療法人になった時に、契約者と受取人を医療法人という形にして一定の保険に入る。そうしますと医療法人で支払った保険料は、経費にする事が出来るのです。

また保険の中には、貯金と殆ど変わらないものもあります。
例えば100万円支払って98万円が戻ってくるといったようなものは、預けておいて好きな時に引き出す事の出来る銀行預金とそう変わりません。それにも関わらず経費に出来るわけです。
こうした保険をうまく利用する、即ち税務署に税金を払う代わりに保険会社に保険料を支払い、将来的に支払う事になる退職金などを貯めるための準備金にする事が出来るのです。

こうして生命保険を上手に活用する事によって、個人の時に比べ大幅に税金を安くする事が出来ます。
ご自分がリタイアした時に保険を解約して、そのお金を退職金とすれば、トータルで見ても税金を安くすませ、上手にお金を貯める事が出来た、という事にもなります。

これが医療法人での一番の節税方法です。



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2009年5月26日火曜日

開業後の節税6-4

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は「親族の所得分散と、給与所得控除額」の応用編となります。

息子を医学部に入学させて、将来跡を継がせたいと思っているドクターがいるとします。
そうしますと医学部の学費は私立の場合ですと入学金は1,000万円、初年度授業料金が600万円。大体卒業までに6,000万円くらいの費用がかかると言われています。
このお金を貯める良い方法は無いか、という事でお話ししていきます。

よく医療法人にして、医療補陣の中で奨学金制度のようなものを作りそれを経費で落としてしまえば良いのでは?と聞かれるのですが、これは大きな間違いです。
単なる学費を経費計上してしまえばこれは進学先が医学部だろうがそうでなかろうが、著しく不公平という事になり、間違いなく税務調査の折に否認されます。
では実際にどうしたら良いかと言いますと、例えば前回お話しした「親族分散」という方法を利用します。
お父さんに毎月50万円の給与を支払うと年間で600万円になります。これを10年間続けると6,000万円。
このお金を将来息子さんが大学に進学する時に使えば良いわけですが、これをそのまま息子さんの口座に移してしまうと「贈与」となってしまします。
ですが例えば入学金や授業料をお父さんの口座から直接支払えば、これにつきましては「親族間の助け合い」という事になります。親族には扶養義務がありますから、この範疇に入るわけです。
この方法をとれば、実質無税で学費を払う事が出来ます。間接的に見ると、医療法人からの給与という形にして経費計上していますから、学費を経費計上しているのと同じ効果を得る事が出来ます。

このように長期的な目線で考えれば、学費という開業医さんにとってなかなか頭の痛い問題をクリアする事が出来るのです。



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2009年5月25日月曜日

開業後の節税6-3

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は昨日に引き続き「親族の所得分散と、給与所得控除額」ということでお話しいたします。

【給与所得控除額】
医療法人にした場合に支払う理事長先生への給与、あるいは奥様や親族の方への給与など。これらにつきましては、その支払った金額全額が課税されるわけではありません。給与というのは、給与をもらった人の収入金額から、「給与所得控除額」という実際に使っていなくても経費に出来る「みなし経費」といったものを引く事が出来ます。それを引いた後のものが課税対象となる給与所得となります。

【給与所得控除額速算表】
↓給与等の収入金額↓            ↓給与所得控除額↓
1,800,000円以下 :  収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超   3,600,000円以下  :  収入金額×30% + 180,000円
3,600,000円超   6,600,000円以下  :  収入金額×20% + 540,000円
6,600,000円超  10,000,000円以下  :  収入金額×10% + 1,200,000円
10,000,000円超             :  収入金額×5% + 1,700,000円

このように医療法人の場合には、親族に対して所得を分散しやすくなっており、給与所得控除額というみなし経費を引く事で、その面におきましても手取額を多くする事が出来るという利点があるのです。


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2009年5月21日木曜日

開業後の節税6-2

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は医療法人化にする事によって節税へと繋がる三つのポイント、二つ目のポイントである「親族の所得分散と、給与所得控除額」についてお話しいたします。

【親族の所得分散】
まずは個人開業医さんの所得分散について。
個人開業医さんに課せられる所得税は、超過累進税率というものを採用していますので、所得が高ければ高いだけ高い税率を課せられる事になります。そして所得が1,800万円を超えれば、50%の税率がかけられます。
従いまして、その50%にまではいかない人、30%であるとか20%であるとか、こうした税率の低い人をたくさんつくる事によって所得を分散させる。所得を分させればさせる程、全体の税金は低くする事が出来るわけです。
個人の所得分散の代表的な方法は「青色事業専従者給与」即ち家族の方に給与を支払う、という方法が考えられます。
しかしながらこの青色事業専従者給与というものは、所得税上のあくまでも「特例」なのです。特例ですから、ご家族、例えば奥様にたくさん給与を払いたくても、そう高額には出来ません。
これは税務署の方でもデータを取っておりまして、平成17年度の医療経済実態調査では、給与の平均金額は無資格者無床診療所で平均518万円となっております。ご家族の方が資格をお持ちであるなどしていない限りは、この金額をあまりたくさん超えてしまうと、税務調査の際に否認されてしまいます。
ですから個人の場合の所得分散はそう簡単には出来ないのです。

対して医療法人の場合。
医療法人では親族を役員にする事が出来るようになります。例えば理事長先生が院長先生、常務理事が奥様、普通の理事がお父様、監事がお母様、といったように親族の方を役員にする事により、その方がたとえ非常勤であっても、医療法人では給与を支払い、それをまた経費にする事が出来るのです。ここが所得税の場合との大きな違いです。
そしてまた、個人の時には所得分散しようとしてもなかなか出来なかった家族従業員に対する給与というものも、個人に比べ大幅にアップする事が出来るようになります。
例えば無資格の奥様であっても、医療法人で利益が上がりきちんと仕事をしているという事であれば月給100万円出す事も可能です。

このように、医療法人の場合は個人に比べて、所得分散、即ち先生一人に集中していた所得を、家族や親族に分散する事が出来、結果的に税金を大幅に安くする事が出来るようになるのです。


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2009年5月20日水曜日

開業後の節税6

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日からしばらく医療法人についてお話しいたします。

6.利益が出たら医療法人にして大きく節税しましょう

医療法人化というのは税金が高くて困っている個人開業医さんにとって「節税の決定打」と言えるものです。
では、何故所得の高い個人開業医さんが医療法人にすると節税出来るのかと申しますと、これには三つのポイントが
あります。

1つ目のポイントは、所得税と法人税の税率差というお話し。
個人開業医さんの場合は、年間の課税所得金額が1,800万円を超えますと、所得税と住民税を合わせ50%という税率になります。
対して医療法人はと言いますと、法人税と法人住民税を支払うわけなんですが、法人税の方が約30%、住民税はその法人税の金額の17.3%という事になります。
これを合計しますと、医療法人の税率は課税所得金額に対し約35%となります。
そうしますと最高税率での個人開業との差は、実に約15%にもなるのです。
従いまして、利益の出ている先生方は、個人事業を法人化し、尚かつ医療法人で利益を出す事により本来50%の税率を35%の税率で済ませる事が出来るようになります。
この15%という差は、当然ですが所得が高い方の方が節税出来る金額が大きくなります。
ですから所得が高い方程、医療法人にする事での一年あたりのメリットが大きいという事が言えると思います。

医療法人に対する税率
法人税30%×(1+0.173)=35.19%
医療法人に対する税金=課税所得金額×35.19%

最高税率適用の場合の個人と法人の比較
50%-35.19%=14.81%
↓↓↓  ↓↓↓
医療法人で利益を出した方が個人よりも14.18%税金が安くなる

POINT!!
医療法人化は、所得が高い人ほどメリットがある


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2009年5月19日火曜日

開業後の節税5-2

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
前回は税金を少なくするためには「定率法」を選択すべきだ、というお話しをしました。
本日は具体的な計算方法についてお話しいたします。

【定額法】=取得価格×定額法の償却率
【定率法】=未償却残高×定率法の償却率
 ※未償却残高とは取得価格から前年までに償却した額を差し引いた額をいいます

それでは次に具体的な例を用いて比較をしてみたいと思います。
例)耐用年数5年の電子カルテを500万円で取得した場合…

定額法の場合
償却率:0.200
一年目の減価償却額:1,000,000円(500万円×0.200)
二年目の減価償却額:1,000,000円(500万円×0.200)
三年目の減価償却額:1,000,000円(500万円×0.200)
【三年間の減価償却額の合計金額】 3000,000円

定率法の場合
償却率:0.5
一年目の減価償却額:2,500,000円(500万円×0.5)
二年目の減価償却額:1,250,000円((500万円―250万円)×0.5)
三年目の減価償却額:625,000円((500万円―250万円―125万)×0.5)
【三年間の減価償却額の合計金額】 4,375,000円

このように定額法と定率法の差額は1,375,000円。率にすると1.45倍。
定率法を選択した方が有利だという事がおわかり頂けたと思います。


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2009年5月18日月曜日

開業後の節税5

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は減価償却についてお話しいたします。

5.減価償却は定率法を選んで節税しましょう

10万円以上の資産を購入した場合、原則として一度に経費として計上する事は出来ません。
ここでは、減価償却という税務上定められた一定の計算方法で割り出された額が経費となります。
この減価償却には、大きくわけて二つの方法があります。
「定額法」と「定率法」です。
個人開業院さんの場合、届け出をしない限りは定額法が原則となります。

では「定額法」と「定率法」の違いは何かと言うと、一言で言うなら定額法は資産を経費にする場合に、経費に算入出来る金額が毎年同額であると。同じ金額を落としていきます、という方法になります。
そして定率法は、初年度(資産を取得した年)程経費を大きく計上する事が出来、そして年が経つにつれて額が少なくなっていくという方法になります。
最終的に落とせる額は同じなのですが、定率法の方が高いものを買った場合に早く経費を落とす事が出来ますので、それだけ税金を払う金額早く少なく出来るという事になります。

ですから実務上税金を少なくしたいのであれば、定率法を選択すべきだという事がわかります。


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2009年5月15日金曜日

開業後の節税4-3

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は医院併用住宅のお話しの続きで、減価償却費と固定資産税についてお話しします。

【医院併用住宅の減価償却費、固定資産税等】
建物と設備で言えば、付属設備を大きくした方が減価償却の期間の問題、減価償却控除の問題両方の面から有利となります。
更に住宅部分よりも医院部分が大きい方が有利です。
ただし住宅部分において住宅取得控除を受ける場合には、医院併用住宅全体の面積の1/2以上が住居でなくてはいけない、という規定があるので注意が必要です。

医院併用住宅の減価償却費、固定資産税等につきましては、原則として建築の段階で業者さんに業務用と居住用を区分して領収書をもらい事業部分を経費として計上するのが理想です。
それが出来ていない場合は水道光熱費と同じように面積按分する事も出来ます。

以上で事業用経費とプライベートの経費を区分して節税をしましょう、というお話しを終わりにします。


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2009年5月14日木曜日

開業後の節税4-2

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日は医院併用住宅での家事関連費の按分方法についてお話しします。

【医院併用住宅の水道光熱費電話代等の経費】
医院併用住宅での水道光熱費や電話代も、事業で使用している部分とプライベートで使用している部分があると思います。一番良い方法は、こういった問題はあらかじめわかっているわけですから、建築の時点でメーターを事業用とプライベート用にわけてしまうという事です。
この方法が一番確かなのですが、残念ながらメーターや電話が一つしか無い場合。この場合もまた例外的な方法で経費を按分していきます。

まず面積按分、という方法。これはあきらかに医院として使用している部分と、あきらかに住居として使用している部分、そしてどちらでも使用出来る部分というものがあります。
例えば応接室。医院関係の業者の方と打合せに使用するけれど、夜は家族の団欒の場になる。この場合この応接室をどう分類すれば良いかと申しますと、医院と住居の面積比を使って按分する事が出来ます。
もう一つの方法に総務省DATAを使用する、という事があります。
総務省統計局の家計調査等の公的DATAを使用して、ご家族が四人であるならば、四人家族の平均的家計費を否認する事が出来るのです。


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2009年5月13日水曜日

開業後の節税4

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
今日は事業用とプライベートの経費が混じっている「家事関連費」の按分方法についてお話しします。

4.事業用の経費とプライベートの経費を区分して節税をしましょう

事業を行う上で出る経費の中には、プライベートの経費と事業の経費が混ざっているようなものもございます。これを税務上家事関連費と言います。
この家事関連費というものは、プライベートな部分を全部含めて経費計上してしまうと、税務署から否認される上公私混同しているという事で印象も悪くなってしまいます。ですから、積極的にプライベートな部分を否認する事が重要になってきます。

【自家用車に掛かる経費】
皆様自動車をお持ちの場合に、それが往診専用の車であれば問題ないのですが、多くの先生方が乗用車をご購入になりそれを通勤や往診にご使用になり、お休みの日には家族での外出やゴルフなどプライベートでも使われていると思います。
こうした時に、プライベートな部分を経費からどうわけるか、という事が問題になります。
原則としてはタクシー会社のように運行記録をつけて、ゴルフに10km 往診に20km走った、といったように処理する事が理想ですが、これはあくまで原則であり普通の環境では不可能です。
ですからこの原則的方法ではなく、例外的な方法で対処していきます。

では具体的にどうするか。
この例外的方法は、税法の本などに書いてあるものではありません。ですが納税者の方が自ら選択し、尚かつ合理的でありさえすれば税務上認められます。
わたくし共の事務所でお薦めしている方法としましては、「日数按分」というものがあります。
日数按分とは、一週間の内一日休暇を取るので1/7がプライベートでの利用、つまり1÷7≒約15%という事で自家用車にかかる経費の約15%を否認する、という計算方法です。
もう一つ、車を何台か持っている場合にはその車をそれぞれ事業用・プライベート用に分けて考える台数按分という方法があります。
例えば二台車を持っていて、一台がベンツ、一大がビッツであった場合。高価であるベンツを事業用、ビッツをプライベート用とし、高価な方を経費計上します。

ちなみに車に関しましてはは本体の減価償却費だけでなく、車を維持するための保険料・ガソリン代・自動車税・車検代など、こういったもの全てを含めた金額を否認または経費計上する事が出来ます。


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2009年5月12日火曜日

開業後の節税3-5

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
前回は帳面の重要性についてお話ししましたが、本日はその帳面の付け方についてお話しします。

帳面ですが、昔は現金出納帳、とうことで、小遣い帳や家計簿程度のものを手書きしてもらっていたわけなのですが、最近は会計ソフトが一万円~二万円くらいで売っております。そういったものを使用して作成して頂ければよろしいかと思います。
よく会計事務所の方の中には高額なパソコンソフトの導入をされる方もいらっしゃいますが、市販のもので充分です。
そうしたソフトを使って、きちんとした帳簿を作ってください。

そしてまた帳簿を作成するだけでなく、つくった帳簿や領収証の管理をきちんとしてください。
税務署は医院の管理体制をチェックしているのです。
整理整頓されたオフィスは、お金の管理にしても、経費の管理にしてもきちんとしているのだという印象を税務署に与えます。
こういったプラスの印象は税務調査の時にとても重要で、グレーゾーンにある経費が認められる可能性もアップするのです。


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2009年5月11日月曜日

開業後の節税3-4

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
今日は、経費を税務署にきちんと認めてもらうにはどうしたら良いか、という事についてお話しします。

【きちんと帳面を付ける】
個人事業の場合、節税の第一歩は青色申告を選択する事です。青色申告には税務上色々な特典があるからです。
が、特典がある反面、記帳義務もあります。すなわち、きちんと帳面を付けますという事を税務署に対して宣言しているという事なのです。
経費というのは、事業において収入を得るために使ったお金です。しかし経費がどういった意味合いで使用されたかは、使用した本人にしかわかりません。ですから経費を計上するためには、単純に領収証を取っておけば良いというものではないのです。
銀行からのやり取りならば振り込み先の記録が残るでしょう。しかし現金でのやり取りは本人にしか証明は出来ないのです。
ですから日付、相手先、内容、事業との関連性をきちんと記録しておく必要があります。最低限、現金出納帳をつけておかないと、何に幾ら支払ったのかがわからなくなってしまいます。

【自身で帳面を付ける】
よく現金出納帳をつけるという事に関して、会計事務所に全てをまかせてしまっている先生がいらっしゃいます。そうした場合会計事務所に公私合わせた領収証を全て渡してあとはまかせてしまうケースが多いのですが、会計事務所というものはどうしても安全を優先させてしまいますから、経費に白・グレー・黒と色づけをした場合、黒は勿論ですが、危険性を含むグレーも切り捨ててしまいます。
ですから少しでもたくさんの経費を計上し、本当に節税対策をしたいと思うのならば、先生ご自身がグレーの部分を含め経費である事を証明する必要があります。
節税しようと思ったら汗をかきましょう、よく私がクライアントの先生方に言う言葉です。
また、お金の管理や記帳がしっかりしている医院は税務署の職人に納税意識が高いと見られるので、経費の計上が認められやすくなります。


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2009年5月8日金曜日

開業後の節税3-3

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
前回までに、税金を少なくするためには事業所得を少なくすれば良い。
税金を少なくするためには必要経費を増やし、認めてもらえば良いという結論に達しました。
では本日は、必要経費をより多く税務署に認めてもらうにはどうしたらいいのか、という事についてお話しいたします。

経費を認めてもらうにはどうするか。
これにつきましては、先生方が申告上経費として計上したものの信頼性を高める。これに尽きると思います。
事業のやり方は人それぞれですので、経費の額も人それぞれ差が出ます。
ですが税務署の人達が税務調査に入った時、その経費が高すぎるのではないか、というような事を言ってくるわけです。ですがその経費が本当に高いかどうかは、税務署の人にはわかりません。経費の高い安い、経費になるかならないかがわかるのは、経費を使用したドクター本人だけなのです。
ですから、その際にいかにきちんと税務署の人達にそれを説明するか、という事が大事になってきます。

特に経費の信頼性を高めるためにやって頂きたい事に「お金をきちんと動かす」という事があります。
具体的に申しますと、患者さんが診療を受けた場合に、保険診療ですと窓口で診療費の三割を窓口で受け取ります。このお金をそのまま使ってしまう先生が時々おられるのですが、現金は一度銀行に預ける事をお薦めします。
何故かと申しますと、以下二つのメリットがあるからです。

1経営管理上のメリット
 ・経営がわかりやすくなる
 ・不正を防げる
 ・一端入金した方が結果的にお金がたまる
 ・入金が見えるので銀行から信用される
2税務調査に備えて
 レジや、レセコンの金額を合わせることで信憑性が高まる

そしてまた、プライベートの通帳と事業の通帳を分ける、という事が大切です。
この事によって、個人の生活費である経費と医院経営のための経費とがきっちりと分けて管理されているので、経営のための経費を認めてもらうための信頼性が増すのです。

こうした事から「お金をきちんと動かす」という事が、必要経費の計上には大変重要だという事がおわかり頂けたと思います。


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2009年5月7日木曜日

開業後の節税3-2

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
昨日は収入を減らしての税金対策はナンセンスというお話しをしました。

という事は、事業所得=総収入金額-必要経費という構図から考えるに、残る手段は一つ。
必要経費を増やす、という事になります。
では経費はいくらまで認められるかという質問をよく受けるのですが、税務上、必要経費には上限はありません。
何故なら事業のやり方は人それだからです。
家賃が20万円の医院もあれば、100万円のところもあります。
従業員の数も医院によって全く違うでしょう。
経費は、経営する先生によって大変な差が出るものなのです。

ですから、経費はいくらまで認められるかという決まりはありません。
税金上だけの問題で言うのなら、出来るだけ多くの資産経費を計上して、尚かつ税務署にこれが収入にみあった経費であると認めてもらう事が重要になります。


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2009年5月1日金曜日

開業後の節税3

皆さんこんにちは。湯沢会計事務所の湯沢勝信でございます。
本日から開業後の経費についてお話しいたします。

3.できるだけたくさんの経費を計上して所得を低くしましょう

個人開業医さんの場合は次のように所得を計算します。

事業所得=総収入金額-必要経費

税金は所得に対してかかってくるものですから、所得が低ければ低いだけ、税金も安くすむわけです。
ということは、所得を減らすためには、総収入金額を減らすか、あるいは必要経費を増やすか。このどちらかという事になります。

それでは収入金額を減らすためにはどうすれば良いかといいますと、休診、という手段があります。では休診して例えば一千万円の収入が減った場合どうなるかと申しますと、

休診しなかった場合→収入1千万円→税金で500万円の支払い(
休診した場合→収入1千万円減

という事で、休診しない方がお金が手元に残るわけです。
ですから休診という方法をとりますと、確かに税金は安くなりますが、手取りのお金も低くなってしまいます。

収入金額を低くして申告すれば税金は安くなりますが、それは先日お話ししました通り脱税です。
こうした事から、収入金額での節税の余地は無いものとお考え下さい。



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